副業・兼業解禁の行方(2)

そもそも、今回の「働き方改革実行計画」の中で打ち出された「副業・兼業を促進」については、疑問がたくさんあるのです。
例えば、所得税、住民税、社会保険、雇用保険、労災保険について、税や保険料の計算方法、給付についての取扱いです。

副業で本業以外に収入が生じた場合、所得税や住民税は当然ながら、本業の仕事、副業と合算して課税されます。雇用保険は、主たる勤務での加入となります。つまり、どちらか一方の選択なのです。また、社会保険は、2以上勤務という制度があり、本業、副業での就労が社会保険加入の要件を満たした場合、2つの報酬を合算し、保険料は按分して納付することになります。これだけでも手間が増えるわけで、そこまでして副業する人がいるでしょうか。

もう一つ、問題になるのが、労働災害です。例えば、本業の仕事が終わって次の仕事場に向かってる途中、事故に遭ったらどうなるでしょう。副業出勤時の通勤災害となります。もし、休業した場合、その保障額は、副業の賃金をベースに計算されます。本業の賃金が加味されないわけですから、保障も低い額になる可能性が高いのです。また、本業の仕事で怪我して休業しているにも関わらず、副業の仕事をするというのは不正行為なのですが、こういう場合は本人が自己申告しない限り解らません。

つまり、これまで副業禁止が前提だった時には起きなかった問題が起きてくる可能性を考えなくてはいけなくなった、ということです。国が示したガイドラインを読み込み、理解をした上で、本当に副業をしても大丈夫?ということを、会社も労働者もよく考えた上で、初めてその選択ができるのです。「働き方改革」が叫ばれる中で、副業があちこちの職場に持ち込まれると、現場が無用に混乱することにもなりかねません。社労士の視点でみると、疑問がいっぱいです。

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